京都と大阪の府境にある小さな町・大山崎で、リトルプレス「大山崎ツム・グ・ハグ」など印刷物を作っている大山崎リトルプレイスです。このブログでは「大山崎ツム・グ・ハグ」記事を中心に紹介しています。 https://www.o-little-place.com/
今日もリトルプレス『大山崎ツム・グ・ハグ』の制作に励んでます。。。

 年末年始になると家で何か流行り出す現象があり、おととしは韓国語(ハングル)、去年は手品で、今年はソプラノリコーダーが流行りはじめました。きっかけは、息子が米津玄師の「パプリカ」を小学校で演奏するために練習していたこと。それを聴いて、私も! 僕も! やりたいとなりました。調べてみると、800円ぐらいでヤマハのちゃんとしたジャーマン式のリコーダーが買える(安い!)。しかも、色とりどりのスケルトン仕様で、おしゃれときたもんだ。妻が緑色を買い、僕のは派手なショッキングピンクの笛。それで、まずは「ドラゴンクエスト序曲」を練習しはじめました。


 「嘘をつくよりも簡単に吹ける笛」とシェークスピアが言ったとおり、さっと取りだして適当に吹いても軽やかに音が出ます。ただし、ちょっとした曲を吹こうとすると、途端に「ペヒャー」とか「ピコー」などという情けない音を連発させることになります。説明書を見ると2オクターブほどの音が出せる仕組みになっていますが、半音や高い音を出すのが驚くほど難しい。ドラクエ序曲でもいくつか難所があり、高い方の「ラ」のシャープなどは「うちで飼っていた犬が、犬だと思っていたら実は猫だったんだよ」ぐらいの嘘レベルでは対応しきれません。とにかく背面の穴を押さえるのが恐ろしく難しいうえに(半分押えると書いてありますが、実際は四分の一ぐらい)吹く息の強弱の変化が必要で、ためてプっとかピっとか強くやらないと、うまく鳴りません。とりあえず難しい半音関連は飛ばして、雰囲気のみで練習しています。


 うちは三人家族なので、三人で一緒に吹くとそれなりにシンフォニー感が出て、迫力があります。これはもう、今年の「おもてなしアンヌアーレ」でミニコンサートでもしようじゃないかと目論んでいます。以前、甲子園で聴いたブラスバンドアレンジの髭男「ミックスナッツ」が良くて、それを三重奏で吹くのが目標です。しょうもない嘘には自信があるんですが、笛はそれまでに何とかなるだろうか。


 それに続いて流行り出したのが、レコード収集。収拾がつかなくなるからと避けていた危険なやつに、手を出してしまいました。梅田のタワレコで、J BLのスピーカーでかかっていたビーチボーイズ「ペットサウンズ」収録の「God only knows」で、あえなく陥落です。


 レコードで音楽を聴くことがこれほど楽しかったのかと。どこか、音楽を取り戻したという気になっています。とりあえず数だけはこなしていますが、デジタルで聴いていた音楽ライフとは全然違います。音に向き合っている感覚がとてもいい。学生の頃、40枚ほど集めたレコードの埃を取り除いて、順番に取り出して聴、いています。


 というわけで音楽三昧な日々ですが、実はこういう文章でも一番気にしているのが、音だったりします。毎週書いているお店のメルマガや、発表している文章(※小説出しました!「十七回目の世界」よろしく!)でも、リズムと音の気持ちよさを出すために、必ず最後にあれこれ書き直します。ここがAメロで、ここがサビ、タメておいてフィナーレはこう。たった、たった、たんたたたーんという感じ。いつも何かしら言葉を書く時は、演奏していると思って書いています。うまく書けた時には、一人で夜更けに喝采です。


 メルマガには音楽の話をするコーナーもあり、好きな曲の話を書いています。お店のメルマガだから商品の話をしたほうがいいんですが、一番時間をかけているのはお金にならないその音楽コーナー。音楽の話なんて、曲そのものにやってもらったほうがいいに決まっているのは先刻承知していますが、「全ての芸術は音楽に憧れる」と言いますから、あこがれをずっと書いています。よければメルマガにご登録ください。


 さて、そろそろ笛の練習に戻らないといけない時間です。次の課題曲は、「いつも何度でも」。そう「千と千尋の神隠し」の主題歌です。良い曲すぎて、吹く前から泣きそうです。

 嘘と笛がもっとうまくなったら、十一月のアンヌアーレでお会いしましょう。

 ちなみに、今回のタイトルにした「ミュージック・オブ・チャンス」は、昨年亡くなられたアメリカの作家、ポール・オースターの小説のタイトルです。「偶然の音楽」。まるで歌っているように文章を書く人でした。原書でも翻訳でも、どちらでも大丈夫。素晴らしい作品なので、ぜひどうぞ。


このへんの人々_笛


【プロフィール】

おりこのかずひろ

山崎(島本側)在住(19年目)。
本屋「プオルックミル ブック」店主。
私的山崎観光案内所運営、映画「家路」監督。
一児の父。物書きでもあります。

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【掲載紙面】
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