今回は、福岡県北部にある直方市立図書館をご紹介します。筑豊地区の鉄道網の中心である直方駅から陸橋で繋がっているこの図書館は、毎日いろんな方が利用する複合施設「ユメ二ティのおがた」の中にあります。
大ホールでは吹奏楽コンクールやクラシックコンサート、小ホールでは演奏会や映画会などが開催されています。周辺には学校も多いため学生も多く、作家を招いての講演会などの企画や絵本の読み聞かせなどもあり、この図書館は子どもから大人まで広く地域の皆さんに利用されています。
ホールや図書館が連結した外観も、幾何学的で魅力的。モダンな駅舎ともマッチしていて、ふと立ち寄りたくなります。陸橋をわたって3階から、散歩がてらに裏側からとルートも豊富。屋上で日光浴するも良し、駅に出入りする電車をみてのんびり過ごすのも良し。駐車場からは雨除けの歩道が整備されており、車を利用する人への配慮もあります。ロビーから図書館に入ると新書や特設コーナーが出迎えてくれ、書架の奥には郷土資料コーナーがあり、CDや映画DVDも完備されています。
館長さんにお話を伺ったところ、この図書館のイチオシは3つの共有スペース。1つ目は2階に上がったところにある自習スペース。一人1回3時間までですが、次に待っている人がいなければ1回だけ延長できます。2つ目は、図書館に内包された中庭で、外からはアプローチできないスペース。屋根はないけれど、風の吹き抜けるこの場所は学生たちもお気に入りのようです。なんだか子ども時代の秘密基地を思い出しませんか? 3つ目は、複合施設のロビーにある丸テーブル。自販機でコーヒーも飲めるし、行き来する人もちょっと座りたくなるくつろぎフリースペース。ここでヘッドフォンをしながらスマホ片手に宿題をしたり、ぼーっと考え事をしたりと、使い方はさまざまです。
中庭には当初彫像が飾られており、椅子が4脚置かれていたそうですが、学生たちが集まるようになったのでより広く使えるように彫像を撤去し、椅子を増やしたそうです。このように大きな複合施設のつながりのスペースが、学生や市民に利用されるうちに少しずつ変わっていったそうです。これって、素敵なことですね。施設が提供するのは「場」であり、使う人の立場に立って柔軟に変えていくことが大事なのだと感じました。日々、目を配られている館長さんをはじめとするスタッフの皆さんの情熱を感じました。また行ってみたいと思える図書館です。(N)
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