京都と大阪の府境にある小さな町・大山崎で、リトルプレス「大山崎ツム・グ・ハグ」など印刷物を作っている大山崎リトルプレイスです。このブログでは「大山崎ツム・グ・ハグ」記事を中心に紹介しています。 https://www.o-little-place.com/
今日もリトルプレス『大山崎ツム・グ・ハグ』の制作に励んでます。。。

 カラスウリは、道端のフェンスや公園の植え込みなどにまきついて生えている。このあたりではよく見かける、ごく普通のつる草だ。晩秋、枯れたつるにぶら下がっているオレンジ色の実を見たことがある人は多いと思う。でも、夜に咲くちょっと変わった花の姿を見たことがある人は、少ないんじゃないかな。


カラスウリ実


 真夏の昼下がり、「ジリジリジリ」と暑苦しいアブラゼミの鳴き声を聞きながら歩いていると、公園に植えてあるツツジにからみついているカラスウリが目に入った。それには、その日の晩に咲きそうなつぼみが数個ついていたんだ。


 夏の夜に咲くカラスウリの花は、翌朝にはしぼんでいる一夜かぎりのはかない花。日が暮れてから咲き始め、だいたい午後8時ごろに満開となる。よい機会なので花の写真を撮ろうと思い、夜の8時すぎに公園に行ってみた。カラスウリの場所は街灯から離れているので真っ暗だ。さっそく僕の大嫌いな蚊が寄ってくる。虫除けスプレーを忘れてしまったことを後悔しながら、LED懐中電灯を照らして花を探すと、予想どおり見事に開花していた。


 反り返るように開いた5枚の白い花びらの縁に、もじゃもじゃした細長い白い糸状のものがたくさんついている。ふんわりとカールした長い糸は、花びらのまわりを囲う繊細な白いレースの編み物のようだ。僕はこの花を神秘的で美しいと思うのだけれど、「細長い触手がいっぱいくっついた、気持ち悪い生き物みたい」と言った人がいた。もし昼間に咲く花であったなら、白いレースが風にそよぐきれいな花という評価が得られたであろうに、暗闇の中では白いレースにネガティブな印象を持たれてしまう不運な花だ。


 明るい昼間に咲く花の多くは、蜜を求めてやって来るチョウやハチの仲間などの昼間に活動する昆虫に花粉を運んでもらって受粉をし、種子を作って子孫を残している。暗い夜に花が咲くカラスウリの場合は、夜に活動して蜜を吸いにやって来るスズメガというガの仲間に受粉を助けてもらっているんだ。


 花に糸状のもじゃもじゃをくっつけて目立つ姿になったのは、スズメガを呼び寄せるためらしい。5枚の花びらの縁から細い糸状のものを伸ばしているのは、暗がりの中でも花の存在をアピールできるように、花びらの材料を最大限に有効に使って花を精いっぱい大きく見せようとしているからなのだろうか。それとも、もじゃもじゃと糸がからまったような姿がスズメガの好みなのかな。それに、なんで夜の数時間しか咲かないのだろう。見れば見るほど謎めいた不思議な花だ。そんなことを考えながら、花の撮影を開始した。


 まずは、普通にストロボを使用して撮影してみた。光が強すぎて画面全体が明るくなり、花びらの繊細さがうまく表現されない。それならばLED懐中電灯の白い光をスポットライトにして、花だけを照らして撮影したらどうだろう。左手で懐中電灯をにぎり、右手でカメラを持って慎重にシャッターボタンを押す。懐中電灯の照らし方が難しいけれど、なんとか暗闇の中に浮かび上がるような白い花の姿を撮ることができた。でも、足場が悪いので変な姿勢での撮影になってしまう。これじゃあ、誰が見ても夜の公園の怪しいおじさんだな。別に悪いことをしているわけではないんだけれど、人に見られるのが怖くて、なんだか落ち着かない撮影だったよ。


 みなさんも、人のいない夜の公園で写真を撮る時は、不審者に間違われないように十分気をつけてくださいね。


記事用カラスウリ花


【補足説明】

■カラスウリ

つる性の多年草。

本州、四国、九州に分布。

雌雄異株。

晩秋にオレンジ色の実をつける。

種は「打出の小槌」に似ていることから、金運上昇の縁起物とされる。

これまでの「天王山でひと話咲かせましょうータムさんのお話」全話は、こちらからご覧になれます。

掲載紙面⇩

 花は一夜限り紙面


Vol.49の表紙&P1に掲載
Vol49_ページ_1

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