残業をしないためにはどうすればいいのか。前回は、原因のひとつ「付き合い残業」の背景について見てみました。今回もその続きから。「チーム全員の仕事が終わるまで帰らない」を
まずやめよう
チームワークを強調しすぎると、「チーム全員の仕事が終わるまで誰も帰ってはいけない」という結論に結びつき、「つきあい残業」を大量に産んでしまいます。
むしろ大事なのは、「他の人が残業していても、自分の仕事が終わればさっさと帰ってよい」というルールをチーム内で定めることです。そもそも、他人に一緒に残ってもらったところで、手伝ってもらえる仕事ばかりでもありません。効率の悪い「つきあい」を要求するよりも、「自分より先に帰る人がいても、笑顔で送り出す」ことのほうが、チームを円滑に運営するためには重要です。
社会人マナー本などには、「『何かお手伝いすることありますか?』と声をかけてから帰れ」という話が載ってますが、そんな気づかいは不要です。自分の仕事が終われば、さっさと家に帰りましょう。
ヘルプは朝出せ!
帰る前の気づかいは不要だと述べましたが、チームで一切助け合いをするなと言いたいわけではありません。それでは、チームで仕事をする意味がなくなってしまいます。仕事の量が見積もりよりも多いとか、何らかのトラブルに巻き込まれたというのであれば、積極的にメンバーにヘルプを求めるべきです。その際には、「業務時間後」ではなく「朝」にお願いするとよいでしょう。夜になってから急にヘルプを頼まれると残業になりますが、朝の段階であれば業務時間内に手を打てます。そのためのきっかけとして、短時間でよいので(むしろ、長くなるならやめるべきです)「朝会」を行うことをおすすめします。朝会では昨日やったこと、今日やること、問題点を各自毎日共有し、ヘルプが必要ならこの場で求めることにします。
問題についての深い議論を朝会で交わしてはいけません。「◯◯さん、××で悩んでいるので、あとで相談にのってください」といったような「ヘルプのきっかけ」にとどめておくべきです。「ヘルプそのもの」は別の時間に人数を限定して行わないと、時間の無駄になります。
また、朝会で「私の今日の仕事は◯◯です」と表明することは、「今日は◯◯という仕事をします」というコミット(宣言)でもあります。コミットした仕事はチームのために責任をもってやり遂げる必要がありますが、コミットした仕事さえしっかりと終えれば、その日はもう帰ってもいいということにもなります。こうやって仕事をコミットすることも、無駄な「つきあい残業」をなくすためには有効です。 つづく
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社会保険労務士 楠 木 仁 史
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