京都と大阪の府境にある小さな町・大山崎で、リトルプレス「大山崎ツム・グ・ハグ」など印刷物を作っている大山崎リトルプレイスです。このブログでは「大山崎ツム・グ・ハグ」記事を中心に紹介しています。 https://www.o-little-place.com/
今日もリトルプレス『大山崎ツム・グ・ハグ』の制作に励んでます。。。

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 たしか平成27年の9月のことだったと思う。竹やぶのそばの小道を歩いていると、やぶの中に一際目立つ、白い奇妙な形をしたものがあったんだ。太さが人差し指くらい、長さが2030㎝くらいの棒が地面に垂直に突き刺さり、棒の上の方には大人のこぶしほどの白い丸いものが付いている。それも1本じゃなくて5本もまとまって生えていたんだよ。

開く前マントカラカサ


 たぶんキノコだろうと思って自宅に帰って調べてみると、大型のキノコであるカラカサタケの仲間だった。僕が見た丸いものは、傘が開く前の状態だったんだ。傘が開いた大きなカラカサタケは見たことがあるけれど、開く前の姿を見たのはこの時が初めてだったんだ。こんな不思議な形をしているとは思わなかったよ。


 次の日、傘が開いていることを期待して見に行くと、予想通り見事に開いていた。傘はまだ最大限まで開き切っていなかったけれど、その直径は大人の手のひらを広げたくらいの大きさになっていた。傘の裏側のヒダが白くて、柄には白い膜が垂れ下がっているからマントカラカサタケだ。長い柄と真っ白い傘の立ち姿は、カラカサではなくて美しい上品な日傘みたいだよ。翌日には傘が水平になるほど開き切り、その後しおれて倒れてしまうだろう。この時が、ちょうど見ごろだったんだ。


開いたマントカラカサ

 まわりを探してみると、他にも数本生えていた。マントカラカサタケの傘は食べられると本に書いてあったので、道の脇に生えていた傘の開き切っていないものを2本ばかりいただいて持ち帰った。虫に食われていないきれいな個体だ。手に持ってみると、大きな傘なのに信じられないくらい軽いんだ。時間が経つと張りがなくなってしぼんでくるから、手早く切ってパン粉をつけてフライにする。ふっくらと上手にできた。揚げたてを一口食べてみる。中身はスカスカの空洞。まるで衣だけを食べているみたいだ。傘はフライに合うと本には書いてあったのに、料理の仕方が悪かったのかなあ。まだ調理していない残りの傘はバターで炒めることにした。生ではフライパンに山盛りになっていた傘が、加熱するとみるみる小さくなり、シワシワでグニャグニャしたものになってしまった。傘は空気を大量に含んで、大きくなっていたんだ。味の方は歯応えもキノコの風味もあって、まずくはない。でも、大きなキノコだけど食べ応えがないなあ。あえて食べるほどではないと思う。このキノコは鑑賞するのが一番良いみたいだね。


調理前のマントカラカサ


マントカラカサのバター炒め料理人・撮影:タムさん


【補足説明】

■マントカラカサタケ

夏~秋に草地や竹やぶに発生する。傘の直径が20㎝以上にもなる大型のキノコ。柄に垂れ下がる白い膜状のものをマントに見立てたのが名前の由来。

 食べる場合は必ず加熱調理してください。生食は中毒になるそうです。よく似た大型のオオシロカラカサタケという毒キノコがあるので、同定に自信がない場合は食べてはいけません。


【参考図書】

キノコ狩りガイドブック
川嶋 健市
永岡書店
2011T



僕がキノコを食べるときの参考にしています。絶版になっているようです。
図書館にあったら、キノコ狩りの参考にしてください。

 

紙面1

紙面2
紙面「日傘みたいなキノコ」


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