「絵付けでは、『グランデューカ』や『レッドコック』のように多色を用いる作品が生まれたな。形もカップにポット、煙草入れ、スープ入れ、ステッキ握りなど多岐にわたった。フィギュリン(陶磁器で作られた人形)では、フィレンツェの彫刻家を中心に、小さなものでは『カッチーネ(争う動物の小群像)』『カラモージョ(戯画的に人を小さくした像)』、大きなものでは古代彫刻をモチーフにした磁器像やモニュメントなどに挑戦。後世に残る作品(ドッチァ美術館にはその多くが残っています)を作っている。
また、工房の技術の向上のために絵やデザイン、彫刻の学校を創設したり、イタリアの伝統『マジョリカ焼き』も制作した。
こうした取り組みの結果、絵付け、フィギュリン共に高い評価を受けるようになり、マイセンやウィーン磁器工房と肩を並べるまでに成長したんや。
1757年、工房の基盤を築き、発展させたカルロ・ジノリ侯爵が55歳で急死してしまうんや!しかし、跡を継いだ長男・ロレンツォ・ジノリも父に遜色ない活躍ぶりで、土の改良を重ね、工場を増設するなど意欲的に工房を運営し、職人は100人を超すまでになった。各国の君主、名家から注文が入るようになり、実験的で高コストの大きな作品作りはやめ、食器セットや小さなフィギュリンなどを中心に制作・販売するようになっていったんや。ジノリを代表する『イタリアン・フルーツ』が誕生したのもこの頃やで」。 つづく

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