「残念ながら、岩倉使節団の久米(視察報告書を執筆し、『米欧回覧実記』を編集)やお雇い外国人のゴットフリード・ワグネルが挙げた候補に、ヘレンドの名はなかった。久米は佐賀藩出身で陶磁器に詳しく、マイセンやミントン、セーブルなど欧州の名窯も視察していた。この二人が勧めて副総裁の佐野常民が選んだのは、ウィーン磁器工房が閉窯に至る一因となった、ボヘミア地域の磁器会社でウィーン万博でも評価が高かったエルボーゲン社とクロステレ社。この2社は、手頃で良質な日用磁器から高級磁器まで幅広く量産できる体制と、その技術や開発力があった。これは日本が陶磁器を輸出するために必要なことやった。ヘレンドの名がなかったことも、これで納得いくやろう? もしヘレンドが選ばれたとしても,、受け入れることは無理やったと思う。
ウィーン万博開催直後、ウィーンで株価が大暴落。オーストリア=ハンガリー帝国では多くの会社が倒産し、失業者や自殺者を出す事態となっていた。ヘレンドも例外ではなかった。皇帝から大量の注文を受けたにも関わらず、1874年8月に破産を申請したんや」。
つづく
直輸入ブランド洋食器専門
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■参考文献
『Herendi porcelain Magyarorszagagrol』編集 大阪市立東洋磁器美術館
『HERENDO』(「ヘレンド陶磁名品展」図録)朝日新聞社文化企画局
明治前期日本の技術伝習と移転―ウィーン万国博覧会の研究
藤原隆男 丸善プラネット 2016-06-01
藤原隆男 丸善プラネット 2016-06-01
『ウィーン万博における陶磁器分野の伝習地ボヘミア地方の役割』長井千春・宮崎清 研究論文
有田陶業側面史 (明治編) 松本源次 麦秋社 1985-01T
一番上から
ルノーブル亭主の徒然なるままに【あつらえの器―ヘレンドと万国博覧会―第12話】
ナイスリビング【親兄弟の家と思って建てる】
くすのき労務経営管理事務所【労務管理の必要性と重要性及びその歴史的考察❷】