亭主様、ベトガーは、絵具の開発も中国趣味の絵付けも叶わず亡くなったのですか?
「そうや。高温と有毒な煙がたつ劣悪な環境に肺を、集光レンズに目をやられ、晩年はほとんど見えず、アウグスト王からの黄金作りの要求や監禁からくるストレス、紛らわすための飲酒で手の施しようがないほどベトガーの体はボロボロ。病状を知った王は、やっと12年半の監禁を解き、ベトガーは5年だけ自由を味わい、1719年3月苦しみに悶えながら、中国や日本並みの絵付けを見ることもなく、37歳の若さで旅立ったんや」彼に幸せな時が少しでもあったことを願いたいですね。
「ベトガーが苦しんでいる頃、マイセンでは青絵具の開発どころか、外国からのスパイや職人の引き抜きが横行しており、その中にオーストリアでの陶磁器工場設立に奔走していた宮廷役人デュ・パキエがいた。その男の示す好条件にまずウィーンへ向ったのは、エナメル絵付師フンガー。しかし、磁器の製法を完全に知らなかったフンガーは失敗の連続。パキエは、フンガーを諦め、次にシュテルツエルを引き抜く。一方、フンガーは次々と新絵具を開発―青絵具はまだやったが―、その絵具を使いこなせる職人を捜し、マイセンの歴史に残る装飾絵師ヘロルトに出会うんや」
《大山崎ツム・グ・ハグ 2014年4月号より》
参考文献
『マイセン』ジャネット・グリーソン著・南條竹則訳 集英社
『マイセン』南川三治郎・大平雅巳 玉川大学出版部
『ヨーロッパ歴史地図』 M・アーモンド、Fフェルナンデス=アルメスト他 (株)原書房
『マイセン磁器と東洋趣味』『マイセン磁器誕生生前史』
共に嶋屋節子著 広島芸術学会http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00031562
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