前号は、着替えの時間は労働時間に含まれるとした裁判の判例と法律上の労働時間について紹介しました。しかし、時間に関する相談は尽きません。
「始業時刻ギリギリに滑り込んでくる社員を何とかしたい」「9時に仕事を始められない社員を何とかしたい」という相談も多いです。こういう場合は原則として、就業規則で始業時刻を明確にすればいいのです。しかし、就業規則にこの表記が抜けているケースが多く見受けられます。
このため、その作成には慎重さが必要になります。安易に就業規則を作ることは、逆にリスクとなるからです。リスクが現実になれば、トラブルになります。ですので、トラブルを未然に防ぐための手間を惜しむべきではありません。しかし、何もしないと大きな問題に発展することもあり得ます。就業規則の不備が裁判で不利に働いた例もありますが、就業規則がきちんとしていれば、同じトラブルでも裁判判決が有利になる可能性もあります。
就業規則の改定は、大きな手間にはなりません。しかしトラブルになれば、大きな手間になります。だからこそ、リスクを予想して問題が起きる前に先回りをする必要があります。 おわり
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社会保険労務士 楠 木 仁 史
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