「おかむら」が扱うお茶は、素朴な味で嫌味がなく、毎日飲みたくなるお茶。無農薬・無肥料または有機肥料で育った在来種からできた、「釜炒り茶」「番茶」「煎茶」「紅茶」などを販売。手間暇をかけた、流通量が少ないお茶ばかりです。
岡村さんは年に幾度か生産者さんを訪ね、お茶のでき具合いなどを伺いながら作業を手伝います。 前号ではお茶の歴史とともに、お茶ができるまでの大まかな流れと茶摘み(収穫)の作業までをご紹介しました。
大まかな流れと書いたように、例えば煎茶の「揉む」工程の中には、さらにいくつもの「揉む」作業が含まれます。
江戸末期に味や香りを追求した結果、確立した手揉みの技術。その技術により日本茶は明治に入り、生糸とともに輸出品の花形になります。手作業ではとても生産が追い付かず、機械化の必要性に気づき開発へ。まず焙煎機から始まり、明治30年には揉捻機が完成します。
茶の木は自己受粉できず、ほかの木との交配になることから、1本1本の姿形や品質がバラバラ。量産化が困難でした。
明治41年に栽培のしやすさや品質・収穫ともに優秀な「やぶきた」が発見されましたが、普及していくのは昭和30年頃から。その間に品種樹の増殖を目的に研究されていた挿し木法が実用化され、それを使って在来種からやぶきたに植え替えられていきました。そして今や、日本茶の8割近くを「やぶきた」が占めるようになりました。
品質がよく、生育も早くて収穫量が多い「やぶきた」は、収入が見込めるので農家にとっては救世主。ただ、これほど同品種一辺倒で、自動オートメーション機での製茶となると、味や香りに差がなくなったり、害虫や病気などで一斉にやられてしまったりする心配も。
「おかむら」の生産者さんの多くは、代々受け継がれてきた在来種をなるべく自然に沿った形で育て、茶葉の様子を見ながら機械を操って作ります。
釜炒り茶の生産者さんが使う炒り葉機の中には、昭和20年代製の機械、通称「丸釜」があります。大量に炒ることができず採算がとれないのですが、この釜でしか出せない風味があるそうです。しかし、この釜の製造会社はもうありません。生産者の方々が自らメンテナンスしながら、大事に使い続けているそうです。こうしてできあがったお茶には、「作り手の個性が出ます」と岡村さんは言います。畑は平地ばかりではなく山間部にもあり、シカやイノシシによる被害もあれば、傾斜によって摘採機など機械が使えずに手作業になる場合もあり、なかなかきついそうです。
*右から左へ読み進み、下の右から左へ
農薬や肥料は使わない、使っても化学肥料ではなく、なるべく地域のものを利用した有機肥料。自ら進んで課した制約のため少量しか生産できず、採算はなかなか見合いません。それでも茶樹と味を守りたいと願う生産者さんをだからこそ応援したいと、岡村さんはイベントやネットで丁寧に説明し、販売を広げています。
ここまでは生産工程と生産者さん中心にお送りしました。次号最終回では、岡村さんの日頃の取り組みやこれからのお話を。
にほんちゃギャラリーおかむら
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参考文献:「日本茶のすべてがわかる本」NPO法人日本茶インストラクター協会 企画・編集 「茶の栽培と製造Ⅰ・Ⅱ」大石貞男 以上農文協 「日本茶輸出百年史」 日本茶輸百年史編集委員会 編集 秋野三千雄 発行 「緑茶の世界」松下智 雄山閣 「日本茶の事典」 ㈱スタジオタッククリエイティブ ほか 参考映像:日本茶を学ぶ 2016・2017全国手揉み製茶技術競技会 https://www.youtube.com/user/greenteanewbies/videos 歴史探訪人物クローズアップ第9回茶の品種改良心血を注いだ人『杉山彦三郎』 ・第11回『製茶機械発明家高林謙三』 http://www.ochakaido.com/index014.htm うんたろうのお茶べり教室 http://hw001.spaaqs.ne.jp/slarin/tea/chaken.html 神奈川・伊勢原・大山情報館 http://saiseigo1.blogspot.com/2014/06/200_21.html ぐり茶の杉山 ぐり茶(深蒸し茶製法の蒸製玉緑茶)の形がよじれている理由https://www.guricha.co.jp/blog/category/story-of-tea/page/3/
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参考文献:「日本茶のすべてがわかる本」NPO法人日本茶インストラクター協会 企画・編集 「茶の栽培と製造Ⅰ・Ⅱ」大石貞男 以上農文協 「日本茶輸出百年史」 日本茶輸百年史編集委員会 編集 秋野三千雄 発行 「緑茶の世界」松下智 雄山閣 「日本茶の事典」 ㈱スタジオタッククリエイティブ ほか 参考映像:日本茶を学ぶ 2016・2017全国手揉み製茶技術競技会 https://www.youtube.com/user/greenteanewbies/videos 歴史探訪人物クローズアップ第9回茶の品種改良心血を注いだ人『杉山彦三郎』 ・第11回『製茶機械発明家高林謙三』 http://www.ochakaido.com/index014.htm うんたろうのお茶べり教室 http://hw001.spaaqs.ne.jp/slarin/tea/chaken.html 神奈川・伊勢原・大山情報館 http://saiseigo1.blogspot.com/2014/06/200_21.html ぐり茶の杉山 ぐり茶(深蒸し茶製法の蒸製玉緑茶)の形がよじれている理由https://www.guricha.co.jp/blog/category/story-of-tea/page/3/