こどももおとなも 絵本といっしょに
ほっとひといきつけるじかんを
20世紀のアメリカを代表する絵本作家バーバラ・クーニー。ひと針ひと針ていねいに刺された刺繍のように緻密であたたかみのある画風で知られる画家であり、晩年には、自分自身のことばで文章を綴った作品も発表しています。そのなかで一番人気があるのが『ルピナスさん』でしょう。周りの人々に変わり者扱いをされても、「世の中を美しくする」というおじいさんとの約束を叶えるため、こつこつとルピナスの花の種を撒き続ける女性の物語です。
『ルピナスさん』は、まだまだ女性が職業人として活躍するのが難しかった時代に、プロの作家として第一線を走り続けたクーニーの自伝的な作品だと言われています。
成功した父のもと何不自由ない生活を送るハティーですが、期待されるような生き方、姉のように綺麗で恵まれた花嫁になりたいとか兄のように父の跡を継いでお金持ちになりたいとはどうしても思えません。ハティーの夢は「絵を描く人になること」。周囲に「なれっこない」とからかわれてもその想いを持ち続けます。
やがてある出来事をきっかけにハティーはついに画家として生きることを決意し、美術学校へ入学します。このことを両親に話すと、母は言います。「(画家の)おじいさまのように(なるの)ね?」。でもハティーはこう応えるのです。「ううん、わたしはわたしよ」("Just like me.")。非常に爽やかな場面です。
この作品は、ハティーの成長とともに、ニューヨークが発展していく様子も描かれているので、アメリカの歴史を知る上でも興味深い一冊となっています。
『ルピナスさん 小さなおばあさんのお話』
訳者の掛川恭子さんは、この絵本のあとがきでこう言っています。「クーニーは、ルピナスの花とかさねあわせて、独立心にあふれた一女性の人生を物語にしましたが、特別な人間の、特別な人生を語ったわけではありません。生きるということの意味を、ルピナスさんとよばれた一女性のすがたをかりて、わたくしたちに語りかけているのだとおもいます。」
『ルピナスさん』は、まだまだ女性が職業人として活躍するのが難しかった時代に、プロの作家として第一線を走り続けたクーニーの自伝的な作品だと言われています。
もう一冊、クーニーという人がよくわかる作品が『おおきななみ』です。こちらは、若い女の子が心からやりたいこと、「画家になる」という夢を見つけるおはなしです。画家を祖父に持ち、自身も絵を描くことがとにかく好きな主人公「ハティー」は、実はクーニーの母親がモデルとなっています。ドイツからの移民として成功した裕福な一家の暮らしぶりや、クーニーの時代よりさらに女性の社会的地位が低かった当時のアメリカの状況など事実に基づいた描写も多く、そんななかで自分を見失わずに生きるハティーは、クーニー自身とも重なります。
成功した父のもと何不自由ない生活を送るハティーですが、期待されるような生き方、姉のように綺麗で恵まれた花嫁になりたいとか兄のように父の跡を継いでお金持ちになりたいとはどうしても思えません。ハティーの夢は「絵を描く人になること」。周囲に「なれっこない」とからかわれてもその想いを持ち続けます。
やがてある出来事をきっかけにハティーはついに画家として生きることを決意し、美術学校へ入学します。このことを両親に話すと、母は言います。「(画家の)おじいさまのように(なるの)ね?」。でもハティーはこう応えるのです。「ううん、わたしはわたしよ」("Just like me.")。非常に爽やかな場面です。
この作品は、ハティーの成長とともに、ニューヨークが発展していく様子も描かれているので、アメリカの歴史を知る上でも興味深い一冊となっています。
『ルピナスさん 小さなおばあさんのお話』
『おおきななみ ブルックリン物語』
ともにバーバラ・クーニー 文・絵、掛川恭子 訳/ほるぷ出版
(プロフィール)
ライター/えほん講師 なが田ゆう子
『絵本とおはなし どんぐりん』として、大山崎中央公民館図書室で隔月水曜日におはなし会をしています