京都と大阪の府境にある小さな町・大山崎で、リトルプレス「大山崎ツム・グ・ハグ」など印刷物を作っている大山崎リトルプレイスです。このブログでは「大山崎ツム・グ・ハグ」記事を中心に紹介しています。 https://www.o-little-place.com/
今日もリトルプレス『大山崎ツム・グ・ハグ』の制作に励んでます。。。
こどももおとなも 絵本といっしょに 
ほっとひといきつけるじかんを


   意識はしていなかったけど、気がついたら同じ作家の作品が本棚に並んでいる。前回ご紹介した『にぐるまひいて』の作者バーバラ・クーニーは、わたしにとってそういう絵本作家のひとりです。

ルピナスさん
『ルピナスさん 小さなおばあさんのおはなし』



 1917年の誕生から2000年に亡くなるまで、20世紀という時代を長く一線で活躍したクーニーは、生涯で100冊以上の絵本を手がけたアメリカの人気作家で、コルデコット賞*を2度受賞しています。その画風はひと針ずつていねいに刺された刺繍のように緻密で、手仕事のぬくもりとやさしさがあふれています。と同時に、クーニーは題材とする人物や事柄について徹底的に資料に当たり、現地に赴き取材し、観察して描く作家としても知られ、登場人物の衣装や暮らしぶり、街並みや自然の風景に至るまで妥協することなく細かに描き込んでいます。このような創作姿勢を貫き、ひとつひとつ魂を込めてつくりあげたからこそ、クーニーの絵本は読み継がれているのです。

 クーニーの作品は、読んだ人の心に小さな灯をともし、長く燃えつづけます。たとえば、日々の暮らしに愛情を持ちひたむきに生きる人々を描く『にぐるまひいて』『満月をまって』。自分にとって大切なことを選び取りやり遂げる女性のしなやかな強さを描いた『ルピナスさん』『おおきななみ』。昔ばなしを題材に生命力あふれる一冊に仕上げた『チャンティクリアときつね』などなど。日本でも親しまれている絵本が多数あります。

 1985年のコルデコット賞の受賞で画家としての名声を確固たるものにしたクーニーは、2度目の1980年の受賞以降、絵に加えて自分の「ことば」で文章を綴ることを本格的にはじめました。『ルピナスさん』『おおきななみ』、大統領夫人・社会活動家として人権や福祉の向上のために大きな役割を果たしたエレノア・ルーズベルトの生涯を描いた『おちびのネル』などがその代表作です。

 これらは全て、社会に迎合せず自分の選んだ道を生きていく女性をテーマにしています。長年誠実に活動を続けてきた女性作家が60代になって伝えたかったことが、「自分の気持ちを一番に、まわりの価値観に惑わされず、選んだ道を胸を張って生きなさい」という女性たちへのメッセージであるのは、とても興味深く感じられます。


*アメリカでその年出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して贈られる賞。クーニーは1985年(受賞作『チャンティクリアときつね』)と1980年(『にぐるまひいて』)の2度受賞している。


『チャンティクリアときつね』
バーバラ・クーニー文・絵、平野敬一訳

『にぐるまひいて』
ドナルド・ホール文、バーバラ・クーニー絵、もぎかずこ訳
『おおきななみ ブルックリン物語』


『おちびのネル ファースト・レディーになった女の子』

バーバラ・クーニー文・絵、掛川恭子訳/以上全てほるぷ出版

『満月をまって』
メアリー・リン・レイ文、バーバラ・クーニー絵、掛川恭子訳/あすなろ書房




(プロフィール)
ライター/えほん講師 なが田ゆう子
『絵本とおはなし どんぐりん』として、大山崎中央公民館図書室で隔月水曜日におはなし会をしています



絵本とおはなし どんぐりん

2月13日(水)
10時30分~11時
大山崎中央公民館別館2階和室
(京都府乙訓郡大山崎町円明寺夏目26



Vol29_カラーP1P3_ページ_1

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