こどももおとなも 絵本といっしょに
ほっとひといきつけるじかんを
1日1日、生きていてくれることがうれしくほんとうにありがたいと感じながら、それでもずっと家のなかに留まり同じような毎日を繰り返していると、心が閉じ込められたように思えることがあります。そんなわたしを支えてくれるのは、やはり絵本です。たとえば、目の前の日々を淡々とていねいに、感謝をもって生きる人々の姿を描いた『にぐるま ひいて』。古い時代のアメリカの暮らしぶりを描いた作品です。
秋、父は荷車に牛をつなぎ、家族が1年かけてつくり育てたものを積んでまちに売りに行きます。春に刈り取った羊の毛、その毛を紡いで織ったショールに手袋、亜麻から育てたリンネルの布、白樺のほうき、畑のじゃがいもやりんご。10日間かけて歩いてまちの市場に着いた父はそのすべてを売り、生活に必要なものと家族へのお土産を手に家へと戻ります。そうしてまた、新しい1年が始まるのです。
文章は詩人のドナルド・ホール、絵は100冊以上もの絵本を手がけた人気画家のバーバラ・クーニーです。クーニーは木版に着色する昔ながらの技法を用いて19世紀当時のニューイングランドの風景を色彩あざやかに描き出し、1980年この作品で生涯2度目の*コルデコット賞を得ています。クリスマスのプレゼントにもふさわしい、美しい絵本です。
*アメリカでその年出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して贈られる賞

さまざまあった2018年も終わろうとしています。わたしにとって今年は、前半は年初めにまだ若い末っ子猫をなくしたかなしみから、後半は年寄り猫たちの介護のため、ふだんよりゆっくりと時間が流れた1年でした。あまり家を空けられないので仕事も最低限できる分だけお受けして、たまに出かける以外は猫たちの傍らで本を読んだり家のことをしたり。20年間寄り添ってくれた猫たちとの最後のときを静かに過ごしています。夏前に倒れとても秋までもたないだろうと思っていたのに、この分だと年を越せるかもしれません。
1日1日、生きていてくれることがうれしくほんとうにありがたいと感じながら、それでもずっと家のなかに留まり同じような毎日を繰り返していると、心が閉じ込められたように思えることがあります。そんなわたしを支えてくれるのは、やはり絵本です。たとえば、目の前の日々を淡々とていねいに、感謝をもって生きる人々の姿を描いた『にぐるま ひいて』。古い時代のアメリカの暮らしぶりを描いた作品です。
秋、父は荷車に牛をつなぎ、家族が1年かけてつくり育てたものを積んでまちに売りに行きます。春に刈り取った羊の毛、その毛を紡いで織ったショールに手袋、亜麻から育てたリンネルの布、白樺のほうき、畑のじゃがいもやりんご。10日間かけて歩いてまちの市場に着いた父はそのすべてを売り、生活に必要なものと家族へのお土産を手に家へと戻ります。そうしてまた、新しい1年が始まるのです。
文章は詩人のドナルド・ホール、絵は100冊以上もの絵本を手がけた人気画家のバーバラ・クーニーです。クーニーは木版に着色する昔ながらの技法を用いて19世紀当時のニューイングランドの風景を色彩あざやかに描き出し、1980年この作品で生涯2度目の*コルデコット賞を得ています。クリスマスのプレゼントにもふさわしい、美しい絵本です。
*アメリカでその年出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して贈られる賞

『にぐるま ひいて』ドナルド・ホール文
バーバラ・クーニー絵 もぎかずこ訳
ほるぷ出版
(プロフィール)
ライター/えほん講師 なが田ゆう子