『おおきな おおきな おおきな かぶ』
ヘレン・オクセンバリー 絵
アレクセイ・トルストイ 文/こぐま社
寒くなるほど甘みを増す「かぶ」。ロシア民話「おおきなかぶ」は、教科書にものっているおなじみのおはなしです。定番の福音館書店『おおきなかぶ』ほかさまざまな出版社から絵本が出されていますが、こちらのこぐま社版は、ほかとは少々趣きが異なります。
表紙のおばあさんと孫むすめの髪形や洋服がずいぶんオシャレで現代的です。本文中に登場するおばあさんの部屋にもスタイリッシュな家具や雑貨が並んでいて、一般的な昔話のイメージとはかけ離れています。あまり農作業には向かないだろうふたりが懸命にかぶをひっぱっている姿に、くすりと笑えます。
絵を手がけているオクセンバリーは『きょうはみんなでクマがりだ』や『うちのペットはドラゴン』などで人気の絵本画家で、ケイト・グリーナウェイ賞*を2度受賞しています。
個人的には好きな絵本なので、ぜひ手に取っていただきたいのですが、こどもに与えるはじめての「おおきなかぶ」にふさわしいかどうかは親御さんでご判断ください。
*さし絵画家ケイト・グリーナウェイ(1846~1901)にちなみ、1956年に英国図書館協会が創設。その年にイギリスで出版された絵本のなかでとくに優れたものの画家に対して贈られる