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ジョサイア、科学に貢献する
前号では、ジョサイア・ウェッジウッドが奴隷のメダリヨンを作り奴隷解放運動に貢献しました。
「ジョサイアはな、科学分野へも貢献したで。彼は、詩人でホームドクターのダーウィンとともに、『ルナ・ソサエティ』(満月の夜に集まり論じ合う会)に参加していた。そこには蒸気機関を実用化したジェームズ・ワット、酸素を発見したジョウゼフ・プリーストリ、発明・政治家のリチャード・エッジワースなど才能あふれる人が集まり、情報の交換や議論をしたり、互いの課題を相談したりと活発な交流が行われていたんや。
例えば、発明家でもあったダーウィンは、ウェッジウッドのために顔料をすりつぶす動力として水平型風車を開発。エトルリア工場で13年間活躍した。
一方、ジョサイアも仲間の化学者たちに陶磁器で実験器具を作り提供した。特に有名なのは、硬く摩耗しにくいストーン・ウェア(炻器)製の乳鉢と乳棒。それまでは木や金属製のもので、耐久性がなかったり酸に弱かったりした。のちに商品としても販売され、科学者や薬剤師が買うだけでなく、調理器具としても売れたんや。
彼がもう一つ、世に貢献した発明がある。当時、陶磁器を焼いている最中の窯内の温度を測るすべはなく、炎の色で判断するか職人の経験頼み。職人には高給が支払われた。そこでジョサイアは、陶土の収縮を利用した高温測定計を開発。陶磁器業界も大助かり。これで名誉ある英国王立協会の会員にも選ばれたんや。