京都と大阪の府境にある小さな町・大山崎町で、リトルプレスやチラシを作る『大山崎リトルプレイス』での日々
今日もリトルプレス『大山崎ツム・グ・ハグ』の制作に励んでます。。。

   置く場所がないから漫画は集めないと誓ったのに、最近はタガが外れてしまっています。今は話題の「東京卍リベンジャーズ」を収集中で、これを書いている時点で既に21巻並んでいるので、今号が出るころには最新刊の28巻にまで達しそうです。棚スペースの危機、どうしたものか。


 この東京卍リベンジャーズですが、ストーリーはタイムリープ(過去や未来に自在に移動できる)とヤンキー(不良)の抗争が題材です。主役の26歳のたけみちくんが、ヒロインのヒナちゃんが殺されるのを防ぐために、何度も中学時代に戻って抗争をやり直す話。元々タイムリープ物は大好物なのでこの手の話なら手当たり次第に読むし、自分でも話を書くのですが、今回はそっちの話ではなくヤンキーのことを書いておきます。一つ思い出す話があるので。


 僕が中学に通っていた頃は、ちょうどヤンキーブームでした。学級崩壊などのキツい時は過ぎていたものの、窓が段ボールだったり、授業中に先生が竹刀もっていたりした時代です(どんな時代だ)。学校の友人たちは漫画に出てくるような感じで制服を改変し、放課後に喧嘩に行ったりしていました。一方僕は優等生だったので縁がなかったのですが、中3頃から不良と呼ばれる子と遊ぶようになりました。席の並びがたまたまヤンキーっぽい子らに囲まれていたというのが理由で、「お前、なんか面白な」と言われて一緒に遊ぶようになりました。後で聞いたら、先生は僕のことをすごく心配していたらしいです。しかし、たばことか法に触れるようなことはせず、そういうのは全部断っていました。彼らは総じて頭が良く(勉強はしないけれども)、話が面白かった。その流れだったのか、番長のような人となぜか鳥取にキャンプに行くことになりました。


 彼は中学卒業後に就職が決まり、それが鳥取でした。当時担任だった先生と一緒に、卒業後に引っ越した番長の様子を見に行くというツアーです。なんで僕が?そしてキャンプ? すごく覚えているのは、ヨットのことです。番長を迎えに行って、海岸にテントを立てて過ごしたのですが、夕方頃から暴風が吹き始めました。おそらく台風が来ていたんじゃないかと思います。他のキャンパーは撤収していたのですが、一艘の小さいヨットが暴風の中でずっと戻れずに海に取り残されていました。先生と番長と僕はしぶとく現地に残り、ヨットに「頑張れ」と声援を送って終始テントにいましたが、結局夜中にテントが吹き飛ばされて車の中で寝ることになりました。番長はひたすら文句を言い続け、朝には職場に帰っていきました。


 彼がキレるのは何度か見たことがあるし、話すのは怖かったのですが、いじめとか陰湿なことはなかったと思います。僕に対しても優くて、堅気扱いしてくれていたのかもしれません。外でカツアゲ(お金を取られること)に遭いそうになっても、彼の名前で守られたこともあります。悪さもするけれど、一定のラインはやっぱり守っていました。


 山崎は心底ヤンキーが似合わない街並みながら、時折171号線から改造バイクらしき唸りとラッパ音が届き、あのキャンプのことを思い出します。去り際に「わざわざ来てくれてありがとう」とぼそっと言った番長の言葉が、ずっと心に残っています。今はリアルなヤンキーは絶滅しかかっているらしいのですが、元々ヤンキーは嫌いではありません。漫画を読んだ息子が「あーん?」とセリフをまねするのも楽しいです。「もっかい言って!」と追い込みつつも、「今、番長はどうしてるんだろうか」とふと考えます。それとヨットのことも。いつの間にか見えなくなって結局どうなったのかは分からないけれど、あの時、ちゃんと岸に戻れていたらいいのになと。


【プロフィール】

おりこのかずひろ。山崎(島本側)在住(15年目)。私的山崎観光案内所運営、映画「家路」監督。一児の父。基本的にサラリーマンですが、物書きでもあります。

これまでのお話はこちらから全話ご覧になれます。

■掲載記事⇩ 
ヤンキーとヨット_Vol54


P3-4に掲載

Vol54_入稿_ページ_2





Add Comments

名前
 
  絵文字
 
 
ギャラリー
  • 図書館と共存したまちライブラリー
  • 図書館と共存したまちライブラリー
  • 図書館と共存したまちライブラリー
  • 図書館と共存したまちライブラリー
  • 図書館と共存したまちライブラリー
  • 図書館と共存したまちライブラリー
  • 「あ、この人、仕事できるんだ ろうな」って思う9つの瞬間❹
  • 「あ、この人、仕事できるんだ ろうな」って思う9つの瞬間❹
  • おかげさまで30周年! 31年目のスタートです!
カテゴリー