京都と大阪の府境にある小さな町・大山崎で、リトルプレス「大山崎ツム・グ・ハグ」など印刷物を作っている大山崎リトルプレイスです。このブログでは「大山崎ツム・グ・ハグ」記事を中心に紹介しています。 https://www.o-little-place.com/
今日もリトルプレス『大山崎ツム・グ・ハグ』の制作に励んでます。。。

 長野県北部に位置する小布施町。人口は大山崎町より少なく、面積は島本町よりちょっと大きい、長野県内最小の町です。栗畑とりんご畑が広がるのどかな景色のなかに、町立図書館「まちとしょテラソ」(以下、テラソ)はあります。


obuselibrary

 町役場と小学校に隣接し、三角形に突き出したメインエントランスは、懐かしい雰囲気の町のなかで特殊な存在感を放っています。平屋建てで、高い天井まで伸びる柱は樹木のように先が枝分かれし、館内に一歩入った瞬間に心が躍らされました。閲覧用の家具や本棚はテラソのためにオリジナルにデザインされたもの。土日になると多くの中高生が訪れ、自習をする生徒もいます。子ども用のスペースにはカーペットが敷かれ、靴を脱いで好きな姿勢で本を読めるようになっています。

 雰囲気がとてもよい図書館ですが、私が感動したのは「本を読む」だけに止まらないこと。テラソで体験したことを少しご紹介します。

 私が初めてテラソを訪れたのは2014年の冬、「小布施若者会議」という町主催のイベントに参加したときのことです。全国から35歳以下の若者が集まり、地方の課題を解決するためのアイデアと実践を通して、自分自身と向き合う2泊3日。「会議」という名ではありますが、2泊3日のほとんどを会議室ではなく地域に出てフィールドワークをし、テラソで過ごします。

 3日目には地域住民を招いた発表会があるため、2日目の夜は各チーム夜遅くまで話し合うのですが、ほとんどのチームがそのまま朝を迎えます。


obusekaigi2014_allnightsession


 夜通し話し合い、アイデアを出し合い、ときには意見が衝突することもある、思いを伝えられなくて泣きだす人もいる。そんな青春ドキュメント番組のような一夜を過ごした場所がテラソでした。

 図書館で一夜を明かす。おそらくほとんどの人は体験したことがないのではないでしょうか。

 この3年後、私はもう一度「小布施若者会議」に参加します。この年はテーマごとに参加者を募集していて、私は「教育・福祉」チームに入りました。「多世代でつくる『大人の学校』を構想しよう」というテーマで町内のフィールドワークをして、議論を交わし、2日目の夜を迎えました。

 そして夜な夜な話し合って生まれたアイデアが、「町民の自分史を図書館にアーカイブする」ことでした。まさに図書館で考えたからこそ生まれたアイデアです。その後2年間、町民の自分史をつくるワークショップを実践までさせていただき、「小布施町民史」という冊子にまとめました。


町民史_表紙

 私は「図書館は本を借りる場所」としか思っていませんでしたが、テラソに行ってからはその多様な機能に気づかされました。図書館は本を借りるだけでなく、人との出会いがあり、協働する場でもある。情報を手に入れる(インプット)だけでなく、新しいものを生み出す(アウトプット)ことができる場所である。可能性に溢れる図書館「まちとしょテラソ」は、小さな宇宙かもしれません。    文・写真 長砂




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まちとしょテラソ



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