前号は「労働時間に準備や片付けの時間が含まれているかはグレーゾーンになっている」というところまででした。
三菱重工長崎造船所事件(最高裁・平成12年3月)の判例が、参考になります。
①社員が労働時間内に着替えを行った(10分前後)
②労働時間内に着替えをしたため、就業規則違反で賃金カット
③社員達は「作業前の着替え時間も労働時間に含まれるべき」と主張
④「賃金カットも不当だ」として裁判を起こした
最高裁までもつれた裁判の結果は、
❶着替えの場所は就業規則で決められている
❷「着替えの時間=労働時間」となる
➌カットされた賃金を支払う
となったのです。この場合は「裁判」になったので、明確になりました。しかし一般的には、「それが労働時間に含まれるかどうか」の判断に迷うこともあります。
法律上の労働時間とは、
1、社員が会社の管理下、監督下で働いている時間
2、就業規則で決められた時間(休憩時間を除く)
3、雇用契約書で決められた時間
などとなっています。